肩の 痛み改善 !

四十肩や五十肩といわれる加齢による痛み
野球やテニス、バレーボールといった
オーバーヘッド動作のあるスポーツでのケガなど
関節の構造上、自由に動く関節だからこそ
痛みの原因は様々あります。

肩上方の痛み:棘上筋・棘下筋

棘上筋(きょくじょうきん)・棘下筋(きょくかきん)は
回旋腱板といわれる、肩のインナーマッスルです。

棘上筋と棘下筋
棘上筋と棘下筋

回旋腱板は関節窩といわれるくぼみに、上腕骨頭を
引き付ける働きをしており、関節窩から上腕骨頭が
こぼれないように安定させる役目をしています。

肩関節関節窩
関節窩


肩関節可動域の最終域では、肩の上下にある靭帯によって
安定しますが、可動域の中盤では棘上筋・棘下筋の力によって
安定させるため、棘上筋・棘下筋が機能していることが重要になります。

腕を上げたところから下ろしてくるときに、棘上筋と棘下筋に
より強い牽引力が加わるため、痛みが出るタイミングとしては、
腕を下ろしてくるときに、肩上方に痛みが発生します。

原因

棘上筋・棘下筋の損傷もしくは機能不全が
ある場合に、痛みが発生しやすいです。

棘上筋・棘下筋の損傷、機能不全になりやすい
原因には以下のものがあります。

運動学的要因

①腱板構成筋の筋力低下
②肩甲胸郭関節の安定性低下
③肩甲上腕関節の不安定性
④肩甲上腕関節の上方軟部組織の拘縮

肩甲骨と上腕骨から構成される、肩関節の1つ
肩甲上腕関節が不安定になると、棘上筋と棘下筋の
筋活動が高くなりすぎ、痛みによって筋力の低下が起こります。
また、肩甲上腕関節が不安定になると、関節内に筋肉や組織が
挟みこまれるインピンジメントによって損傷が起きます。

痛み改善方法

肩甲上腕関節の上方軟部組織の拘縮がある場合
先に拘縮を改善を図ります。
拘縮を取り除くだけでも痛みや可動域の改善は
かなりみられます。
痛みがある場合、棘上筋・棘下筋の活動は
落ちるとの研究報告があるため、拘縮改善による
痛みの改善からエクササイズへと段階を踏むことが
良いでしょう。

【拘縮に対するセルフケア】
【肩関節安定エクササイズ】
【肩関節安定エクササイズ②】

肩上方の痛み:肩峰下滑液包

肩峰下滑液包は烏口肩峰靭帯・烏口突起・肩峰で
構成される烏口肩峰アーチと腱板の間にある滑液包のことです。
この滑液包は肩甲骨の一部である肩峰の下で起こる
ストレスを和らげる働きがあります。

烏口肩峰アーチ
烏口肩峰アーチ

肩を動かすとき上腕骨頭は関節窩というくぼみの
中心から外れないようにないように、転がりと滑りの
2つの運動が起きます。
腕を上げるときには上腕骨頭は上へ転がりながら
下へ滑る動きをしますが、その動きがうまくできないと
肩峰下でインピンジメントという挟み込みが起きて
滑液包や棘上筋・棘下筋に圧縮ストレスがかかり
痛みを発生させます。
そのため痛みが発生するタイミングは腕を上げるときになります。

原因

肩甲上腕関節の上方軟部組織の拘縮があると
上腕骨のが下方への滑り運動が制限されるため
肩峰下でインピンジメントが発生してしまいます。

また腕を上げた時に、肩甲骨の上方回旋が不足すると
肩峰下のスペースが狭くなるため、肩甲骨の動きも重要となります。

運動学的要因

①肩甲上腕関節の上方軟部組織の拘縮
②肩甲胸郭関節の安定性低下

痛み改善方法

インピンジメントによる損傷をできるだけ
避けたいため、上腕骨頭の下方への滑り運動を
制限している、肩甲上腕関節の上方軟部組織の拘縮の
改善を図ります。

その後肩甲胸郭関節の安定性を、獲得するため
肩甲骨の動き、特に上方回旋の動きを出せる
エクササイズを行います。

【拘縮改善セルフケア】
【肩甲骨上方回旋エクササイズ】

肩前上方の痛み:関節唇

肩関節は球関節といわれる、構造をしており
●屈曲・伸展
●外転・内転
●外旋・内旋
●水平外転・水平内転
多様な動きができる関節になっています。

球関節は「ボール&ソケット」と例えられ
”上腕骨頭=ボール”が”関節窩(くぼみ)=ソケット”に
はまっている構造になっていますが、同じ球関節の
股関節より肩関節は、はまりが浅くなっています。
そこで、上腕骨頭が関節窩からこぼれないように
関節窩(くぼみ)の周りに線維軟骨組織があり
これが関節唇になります。
イメージがしづらい方は、水筒のパッキンを
イメージしてもらうといいです。

関節唇
関節唇

関節唇が損傷することで、肩に痛みが出ます。

原因

関節唇の損傷は、上腕骨頭の動きが
不安定になることで起こります。

大胸筋などの大きな筋肉だけが働くと
上腕骨頭は関節窩の中心から外れるように
動いてしまいますが、肩のインナーマッスルも
同時に働くことで上腕骨頭の滑り運動が起きて、
関節窩の中心で、上腕骨頭が動きます。

大きな筋肉と小さな筋肉の協調が失われると
上腕骨頭の動きが不安定になり、関節唇の損傷が
起きて肩の痛みへと繋がります。

また、肩関節後方の軟部組織が拘縮すると
上腕骨頭の後方への動きを制限して
前方へ押し出すようにしてしまいます。

上方の関節唇には上腕二頭筋(力こぶの筋肉)が
付着しており、上腕二頭筋が過剰収縮することによって
引っ張られるストレスがかかり、損傷します。

運動学的要因

①腱板構成筋の筋力低下
②肩関節後方軟部組織の拘縮

痛み改善方法

肩関節後方軟部組織の拘縮があり
上腕骨頭が前方に押し出されて痛みが
出ているのであれば、先に拘縮を改善させます。

大きな筋肉と小さな筋肉の協調を取り戻すために
腱板構成筋(インナーマッスル)のエクササイズを
実施する。

【後方拘縮セルフケア】
【肩甲下筋エクササイズ】

肩前上方の痛み:上腕二頭筋長頭腱

力こぶでおなじみの、上腕二頭筋ですが
関節上結節と烏口突起(肩甲骨の一部)に
付着しているため、肩の痛みの原因になります。

上腕二頭筋
上腕二頭筋

上腕二頭筋は上腕骨頭の動きによって
走行するポジションが変わるため
摩擦ストレスを受けやすいです。

痛みが発生するタイミングは
肩を内旋・外旋させたときに
痛みが出ます。
また、鳥口肩峰アーチに挟み込まれることによって
痛みが発生する場合もあり、その場合は腕を上げたときに
痛みが出ます。

原因

上腕骨頭は本来、関節窩といわれる
くぼみの中心に位置しており、動作の際も
中心からずれることはありません。
中心からずれている状態を「骨頭変位」といい
この状態は、非常に動きが不安定になり
ストレスが、かかりやすくなります。

骨頭変位の原因の1つとして、
肩関節後方軟部組織の拘縮があります。
肩関節後方組織の柔軟性が失われることで
上腕骨頭は前方へと変位します。

運学的要因

①上腕骨頭と関節窩の位置関係
②肩関節後方軟部組織の拘縮

痛み改善方法

骨頭変位の原因となっている
肩関節後方軟部組織の拘縮を
取り除き、上腕骨と関節窩の位置を
適切な位置関係へと戻していきます。

その後は肩関節の安定性を向上させるような
エクササイズを実施していきます。

【拘縮改善】
【肩関節安定エクササイズ】

肩外側の痛み:三角筋下滑液包

三角筋下滑液包は名前の通り
三角筋の下にある滑液包です。

肩関節を動かしたときに
三角筋と棘上筋、上腕骨頭との間で起こる
摩擦を制限する緩衝作用の役割を担っています。
滑動性が高い組織のため、肩の動きに合わせて動き
摩擦ストレスを軽減させています。

原因

本来であれば滑動性が高いはずの
三角下滑液包ですが、滑動を阻害されると
三角筋や回旋筋腱板の収縮によって
強い摩擦ストレスが発生することで
肩の外側(滑液包)に痛みを引き起こす
可能性があります。

運動学的要因

①腱板構成筋の筋力低下
②肩甲胸郭関節の安定性低下

痛み改善方法

回旋筋腱板や肩甲骨を固定する
背中の筋肉(僧帽筋、菱形筋)の筋力が低下すると
相対的に肩の筋肉、三角筋の負荷を強めてしまうため
これらの筋肉を鍛えるエクササイズをしていきます。
それと同時に、三角筋下滑液包をマッサージすることで
滑動性を高めることで、痛みを改善していきます。

【滑液包マッサージ】
【回旋筋腱板エクササイズ】
【背中のエクササイズ】

肩外側の痛み:腋窩神経

肩にはQLSといわれる
上腕骨、上腕三頭筋、小円筋、大円筋に
囲まれた隙間があります。
この隙間には腋窩神経といわれる神経が通っており
QLSが狭くなると、腋窩神経を圧迫する形になり
肩の外側に痛みが出たり、上腕外側にも放散痛や
痺れのような知覚障害が出ます。

原因

QLSを構成する
上腕三頭筋、小円筋、大円筋の
柔軟性が低下すると、QLSを狭くさせます。
また、構成筋に外傷がある場合
外傷による後上腕回旋動脈・静脈の
出血によってQLSを狭くさせている可能性があるので
外傷の有無の確認は必要になります。

運動学的要因

①腱板構成筋の筋力低下
②肩甲胸郭関節の安定性低下
③肩関節伸展筋群の筋力低下
④前方関節包の伸張性低下

痛み改善方法

腱板構成筋の中でも外旋筋の
伸張性低下がみられると痛みに繋がりやすいため
筋力向上の前に、まず柔軟性を獲得し
その後に、腱板構成筋の筋力向上や
肩甲胸郭関節との協調性を獲得していくことで
痛みを改善させていきます。

【外旋筋ストレッチ】
【腱板トレーニング】
【肩甲胸郭関節安定トレーニング】

肩後方の痛み:上腕三頭筋長頭・後方関節包

原因

痛み改善方法

肩後方の痛み:広背筋

原因

痛み改善方法