膝の 痛み改善 !
加齢とともに痛みが出やすい膝関節。
X脚やO脚といったアライメント異常や
スポーツにおいてのケガも起こりやすい部位です。
下半身の関節で安定性を担っている関節のため
足首や股関節の動きへも影響します。
膝前方の痛み:膝蓋下脂肪体
膝のお皿の名前を膝蓋骨(しつがいこつ)といいますが
膝蓋下脂肪体は名前の通り膝蓋の下にある脂肪体のことです。
(室外化写真)
膝蓋下脂肪体の役割は
①膝への衝撃を緩和
②膝蓋骨の可動性をよくする
③膝関節の内圧調整
膝の円滑に動かすためには非常に重要で
役割を果たせないと膝の痛みに繋がります。
膝蓋下脂肪体が痛みの原因である場合
多くは膝を曲げた時に痛みが出ます。
原因
膝蓋下脂肪体は柔らかい組織のため
関節の動きに合わせて、移動します。
膝を屈曲(曲げる)と脂肪体は
関節内に入り込むように後ろへ下がり
膝蓋骨と大腿骨がぶつからないように
クッションの役割をしてくれます。
加齢などで脂肪体が硬くなると、脂肪体が移動せず、
クッションとしての役割を果たせないため
膝を曲げると痛みが出ます。
また、炎症が起きやすく
膝蓋下脂肪体炎による痛みの可能性もあります。
運動学的要因
①大腿四頭筋の伸張性低下
②膝蓋下脂肪体の拘縮(こうしゅく)
③大腿四頭筋の筋力低下
痛み改善方法
まずは膝蓋下脂肪体の硬さを
取り除いていくことが第1課題になります。
膝蓋下脂肪体の硬さが取り除けていない状態で
大腿四頭筋のトレーニングをしても、動かしたときに
痛みを伴う可能性があります。
【脂肪体のマッサージ】
【大腿四頭筋トレーニング】
膝前方の痛み:脛骨粗面
脛骨粗面は脛骨(脛の骨)の上部にある
隆起した部分のことです。
脛骨粗面の痛みで有名なものといえば
脛骨粗面が大きく隆起してしまう
オスグット・シュラッター病です。
ジャンプやダッシュといった
膝をを強く伸展(伸ばす)時や
隆起した骨を押すと圧痛が出ます。
原因
11~14歳頃は身長の増加が著しく
急激な増加は脛骨粗面へのストレス要因であると
報告されています。
また脛骨粗面は大腿四頭筋の付着部になっているため
大腿四頭筋収縮に伴う、力学的ストレスを受けやすくなっています。
成長期の脛骨粗面は力学的に脆弱であるため
繰り返されるストレスによって、障害を受けやすい
状態にあります。
運動学的要因
①股関節伸展筋の筋力低下
②腸腰筋の筋力低下
③足首の背屈制限
④大腿四頭筋の伸張性低下
痛み改善方法
まずは脛骨粗面に付着している
大腿四頭筋からのストレスを取り除いていき
大腿四頭筋の伸張性が確保するとともに
足首の背屈制限がある場合は、足首の
モビリティエクササイズをしていきます。
柔軟性を確保できたら、股関節周りの
筋力をアップさせていくように段階を
踏んでいきましょう
【大腿四頭筋のストレッチ】
【足首のモビライゼーション】
【腸腰筋トレーニング】
【股関節伸展筋トレーニング】
膝の内側の痛み:内側側副靭帯
内側側副靭帯は膝の内側にある
3層からなる靭帯です。
靭帯は骨と骨を繋いでおり
関節可動域の制限をしています
内側側副靭帯は膝関節の外反、
下腿(膝下)の外旋の可動域の制御しているため
内側側副靭帯を痛めている場合、膝関節外反、
下腿外旋時に膝内側に痛みが出ます。
また、内側側副靭帯は膝関節最大屈曲でも
緊張が増大するため、最大屈曲時にも
膝内側に痛みが出る場合があります。
原因
内側側副靭帯へのストレスの多くは
膝関節外反、下腿外旋による伸張ストレスです。
X脚の人は膝関節外反、下腿外旋になっているため
日常的に内側側副靭帯へストレスがかかりやすくなります。
スポーツの場面においては、ジャンプ着地時などに
ニーイン・トゥアウト(膝内向き・つま先外向き)の
状態になると、内側側副靭帯へ強い伸張ストレスがかかり
靭帯損傷につながります。
大きな損傷につながることはなくても
反復してストレスを受け続ければ損傷することもあるため
アライメントの改善や動作の改善が必要です。
運動学的要因
①膝関節の外反不安定性
②股関節外転筋力の低下
③下腿の回旋異常
痛み改善方法
膝関節外反、下腿外旋による
伸張ストレスをなくすために
X脚の改善やニーイン・トゥアウトといった
動作不良の改善が必要になります。
そのために、股関節の外転・外旋筋のトレーニングや
内転筋のエキセントリック収縮(筋肉が伸びながら力を発揮)の
トレーニングで改善を図ります。
【股関節外転筋トレーニング】
【股関節外旋筋トレーニング】
【内転筋エキセントリック】
【ニーイン・トゥアウト改善】
膝の内側の痛み:鵞足炎
縫工筋、薄筋、半腱様筋は脛骨の内側に
付着しており、その付着部の形状が鳥の足に
似ていることから、鵞足といわれています。
3つの筋肉が付着しているため
炎症を起こしやすく、この部位で起こる炎症を
鵞足炎と呼ばれています。
伸張ストレスがかかると痛みが出るため
膝を外反させる、もしくは摩擦ストレスによって
膝内側に痛みが出ます。
鵞足部の圧痛は、女性でBMIが高い症例に
多いとの報告があり、肥満で過重負荷が大きく、
筋力が弱いためと考えられています。
原因
鵞足炎の原因は伸張ストレスです。
膝関節外反や下腿外旋のアライメントは
鵞足を構成している3つの筋肉が過剰に収縮して
付着部へ伸張ストレスがかかります。
膝関節を外反させる要因の1つとして
偏平足があります。
偏平足は足関節が回内しますが
足関節が回内すると運動連鎖によって
膝関節は外反・外旋します。
そのため、鵞足炎がが疑われるときは
足のアライメントをチェックするようにしましょう。
(足部アライメント異常について)
運動学的要因
①下腿の回旋異常
②股関節外転筋の筋力低下
③下腿三頭筋の筋力低下
痛み改善方法
鵞足を構成する3つの筋の過剰収縮による
伸張ストレスが痛みに繋がっているため
縫工筋、薄筋、半腱様筋の硬さを取り除くことから
始めて、筋の硬さが取り除くことができてきたら
股関節外転筋や下腿の回旋異常に対する
トレーニングへと進んでいきましょう。
偏平足も膝関節を外反させる原因なので
足部のトレーニングも同時に行うのがおすすめです。
【鵞足構成筋のリリース】
【股関節外転筋トレーニング】
【下腿回旋に対するトレーニング】
【足部のトレーニング】
膝の外側の痛み:腸脛靭帯炎
腸脛靭帯は太ももの外側を走行する靭帯です。
腸脛靭帯の上部は大腿筋膜張筋と大殿筋が付着
下部は脛骨(脛の骨)の上部外側に付着しています。
腸脛靭帯炎は大腿骨外側と腸脛靭帯との間で
摩擦ストレスがかかることで炎症が起こります。
また、腸脛靭帯と大腿骨の間には脂肪組織があり
膝が屈曲しているところから、大腿四頭筋を収縮させると
脂肪組織が圧迫ストレスを受け、脂肪体の炎症が起こることが
報告されています。
膝の曲げ伸ばし時に膝の外側に痛みが出ます。
原因
腸脛靭帯炎は腸脛靭帯の過緊張によって起こります。
上にも書きましたが、腸脛靭帯は大腿筋膜張筋と
大殿筋と連結しており、この2つの筋肉の張力に
影響を受けます。
そのため大腿筋膜張筋、大殿筋が過緊張すると
腸脛靭帯が引っ張られて、過緊張します。
また、大腿四頭筋の1つである、外側広筋が短縮すると
大腿骨と腸脛靭帯の間のスペースが狭くなり、脂肪体が
圧迫ストレスを受けることになり、脂肪体の炎症が起きます。
運動学的要因
①腸脛靭帯の過緊張
②膝関節の内反不安定性
③外側広筋の過緊張
痛み改善方法
まずは腸脛靭帯の過緊張を取り除くことで
痛みの改善を図ります。
大腿筋膜張筋、大殿筋、外側広筋をストレッチや
フォームローラー、マッサージボールを使って
リリースします。
腸脛靭帯へ直接フォームローラーを当てる方がいますが
過緊張している状態では痛いだけで、あまり効果が
出ないので、上に挙げた筋肉をリリースしましょう。
【大殿筋リリース】
【大腿筋膜張筋リリース】
【外側広筋リリース】
【大殿筋ストレッチ】
【大腿筋膜張筋ストレッチ】