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痛み

腰痛 改善の科学的アプローチ:痛みを和らげるエビデンスベースの方法

腰痛 は多くの人が一度は経験する身体の不調です。
原因や症状は個人によって異なるものの、腰痛を適切に管理するためには、科学的な根拠に基づいたアプローチが必要です。

腰痛に関しては腰痛診療ガイドラインというものがあります。
(腰痛ガイドライン2019改定第2版)
このガイドラインは腰痛に関して出ている論文を集め、それについて議論していきエビデンスレベル、推奨度合いを定め診療や治療方針を示すものです。

今回のブログは、このガイドラインや様々な論文をもとに、腰痛に対するさまざまな治療アプローチの有効性について詳しく見ていきます。
どのような場面で、どのような治療法が有効であるかについて掘り下げ、腰痛改善に向けた最適な方法を検討していき、腰痛に対してどのようなトレーニングが役立つのか、エビデンスに基づいた具体的なアプローチも紹介ていきます。

腰痛

腰痛 に対する物理療法と運動療法

腰痛に対して行うことで皆さんが思い浮かべることといえば、超音波治療や電気治療、冷やす、温めるといった物理療法と運動によって改善を目指していく運動療法があります。
物理療法と運動療法それぞれにどのようなエビデンスがあるのか、また有効性や推奨度合いを腰痛診療ガイドラインをもとに紹介していきます。

腰痛 への物理療法(牽引、超音波、電気刺激、温熱/寒冷療法)

腰に対する牽引、超音波、電気刺激、温熱/寒冷療法といった、接骨院などで行われる、物理療法は腰痛診療ガイドラインにおいて”エビビデンスレベルC:効果の推定値はに対する確信は限定的である、推奨の強さは明確に推奨できない”となっています。(45頁 腰痛の治療として物理・装具治療は有用か)
※エビデンスレベルはA・B・C・Dの4段階

効果が限定的とはどういうことなのか?
温熱療法の効果は急性期または亜急性期といった、痛みが出て間もない時期には痛みのレベルを下げたり、治療後4〜5日の短期の機能改善に効果があるとされ、腰痛全般かつ長期的な効果に関しては十分なエビデンスがないため、限定的となっています。
その他の治療でも神経痛があるかどうかなど限定的な場面であったり、はっきりと差が出た結果が得られていません。

この章ではコルセットやインソールといった装具にも触れらています。
コルセットについては、筋骨格変形の矯正、脊柱可動性の制限、脊柱の安定化、機械的負荷の軽減に効果があると認められていますが、痛みや機能の改善の効果は認められなかったとしています。
また、コルセットにおいて有害事象として、皮膚病変、胃腸障害、より高い血圧と心拍数、筋肉組織の障害などとの関連が示唆されています。

インソールに関しては下肢痛の改善は認められましたが、腰痛の改善は得られないとされています。

運動療法

腰痛診療ガイドラインにおける運動療法の有効性は”エビデンスレベルB:効果の推定値に中程度の確信がある、推奨の強さは行なうことを強く推奨する”となっています。(53頁 腰痛に運動療法は有用か)
エビデンスレベルは高く、推奨の強さも強いですがこれは慢性腰痛に対してのものとなります。
慢性腰痛患者に対する運動療法は腰椎の可動域や機能障害の改善、痛み、運動機能、健康状態、筋力、筋持久力の改善だけでなく、QOL(生活の質)の改善に効果があるとされています。
他にも日本国内で行われた、運動療法と薬物療法(非ステロイド抗炎症薬)の比較をしたところ、痛みの強さや立った状態での前屈テストの結果に差はなかったが、運動療法においてQOLが有意に改善したとされています。

また、腰痛予防における運動療法のエビデンスレベルもBと高く、行なうことを強く推奨するという結果になっています。
慢性腰痛や腰痛予防において、運動療法のエビデンスは高いですが、急性期や亜急性期においては、質の高いエビデンスがなく今後質の高い研究が必要であるなっています。

ここまでのまとめ

ここまで長々と難しいことを書いてきましたが簡単にまとめると、

物理療法

・その効果は限定的で、明確に推奨できない
・急性期と亜急性期に痛みのレベルを下げる
・治療後4〜5日の短期の機能改善に効果がある

運動療法

・急性期と亜急性期における十分なエビデンスはない
・慢性腰痛と腰痛予防において十分なエビデンスがあり、
 行なうことを強く推奨

腰痛 への介入を考える

腰痛患者へ運動指導するうえで、どんな動きが苦手で、どのような機能を改善・強化していけばいいのか、エビデンスベースで考えていく必要があります。
ここでは、苦手な動きや腰痛改善にポジティブに働くものは何かについてまとめていきます。

どんな動きが苦手?

腰痛患者が苦手な動きをまとめると以下のようになります。

腰痛 患者が苦手なこと

論文の言葉を引用しているので、難しい言葉になっていますが、ざっくりまとめると細かい動きをコントロールすることが苦手です。

低閾値運動とは発揮する力を10段階としたときに、1〜3ぐらいで行なう軽い運動のことです。
腰痛患者では本来1〜3の少ない力でできることでも、6や7といった必要以上の力を発揮してしまうため、低閾値運動が苦手です。
実際、腰痛の方に低閾値のトレーニングを行ってもらうと、本来楽にできるぐらいの負荷でも、力を入れ過ぎて体が震える方が多くいます。

体幹部における分節運動とは背骨を1つ1つ動かすような運動です。
上のまとめにもありますが、腰痛患者ではブレーシングというお腹を膨らませ、腹筋群を使うことでお腹の中の圧を高めるということをして、体幹部の安定を作ります。
さらに痛みがあることで背筋群の緊張も高くなるため、腹筋群と背筋群両方緊張が高い状態になります。
そのため、体幹部を動かそうとしたときに、体幹が1つの物体のように全体が動き、曲げる、反らすといった動作がうまくできません。

腰痛にポジティブに働くもの

腰痛 にポジティブに働くもの

スタビリティーという言葉は安定性という意味です。
つまり腰痛にとってポジティブなことは、安定性を獲得するということです。
ただ、安定性にも種類がありみなさんがイメージするような単純な安定性とともに、動きの中での安定性(動的安定性)も重要になります。

また、その安定性を作り出すために深部スタビリティ、わかりやすく言い換えるならインナーマッスルの働きが大事になり、腰痛改善のためにはそれらの筋肉を活性化させるようなトレーニングが必要になります。

実際にどんなトレーニングが有効か

では、実際にどんなトレーニング有効なのか?
そのキーワードになるのがこちらです。

これらのポイントを押さえたトレーニングを行っていくことになります。
具体的なトレーニングは動画付きでまとめたブログがあるので、そちらを参考にしてみてください。

まとめ

今回は腰痛に関して、エビデンスベースで何が有効なのかをまとめてみました。
物理療法は急性期や亜急性期に痛みを和らげる効果があるものの、その効果は限定的であり、長期的な改善には期待が難しいとされています。一方で、慢性腰痛や腰痛予防に対しては運動療法が強く推奨されており、痛みの軽減や機能の向上、さらには生活の質の改善にも効果が期待できます。

腰痛改善を目指す際には、患者の苦手な動きや機能をしっかり把握し、エビデンスに基づいたトレーニングを行うことが重要です。特に、安定性を高めるための深層筋群を活性化させるトレーニングが有効です。適切な運動療法を取り入れることで、腰痛の改善や予防に向けた大きな一歩を踏み出せるでしょう。

ブログ著者

中森允崇
中森允崇代表
【保有資格】
・日本トレーニング指導者協会 認定トレーニング指導者
​・EBFAベアフットトレーニングスペシャリスト

【経歴】
■大学でスポーツ科学を専攻
■卒業後ジュニア専門のテニスクラブにて全国大会を目指す
ジュニアアスリートの育成に携わる
■2018年にフリーのトレーナーとなり名古屋市に2店舗を構える、パーソナルトレーニングジム CONNECTや大手スポーツクラブとパーソナルトレーナー契約を結び活動
より多くの方の身体の悩みを改善したいと思い出張パーソナルトレーニングを始める
■現在、パーソナルトレーニング指導をはじめ、愛知県ベスト4の高校テニス部にてトレーニングコーチを務めるなどスポーツの分野でも活動中。
中森允崇

中森允崇

【保有資格】 ・日本トレーニング指導者協会 認定トレーニング指導者 ​・EBFAベアフットトレーニングスペシャリスト 【経歴】 ■大学でスポーツ科学を専攻 ■卒業後ジュニア専門のテニスクラブにて全国大会を目指す ジュニアアスリートの育成に携わる ■2018年にフリーのトレーナーとなり名古屋市に2店舗を構える、パーソナルトレーニングジム CONNECTや大手スポーツクラブとパーソナルトレーナー契約を結び活動 より多くの方の身体の悩みを改善したいと思い出張パーソナルトレーニングを始める ■現在、パーソナルトレーニング指導をはじめ、愛知県ベスト4の高校テニス部にてトレーニングコーチを務めるなどスポーツの分野でも活動中。

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