ケガ をすると痛みがとれるまで
安静にするというのが一般的です。
安静がケガを回復させるための最善策なのか?
ケガがよく起こるスポーツの現場で現在されている
対応・処置はどうなのかを書いていきます。
今回ご紹介することはスポーツの現場において
競技復帰を目指すうえで重要ですが、慢性痛を
抱えている一般の方にも重要になります!
スポーツをやっている方だけでなく
普段から体に痛みを抱えている方にも
この内容を理解していただき
体の不調改善に役立つことを願っています。
ケガ の回復を早めるためには逆効果!?
ケガの回復を早めるためには
安静が最善策なのか?
答えは「No」です!
たしかに安静でもケガは治癒しますし
痛みはなくなりますが、最善かといわれると
疑問を感じます。
むしろ、エクササイズなどを取り入れた
積極的なアプローチをしていくことが
最善策だと考えています。
積極的なアプローチが必要な理由
①痛みは記憶される
②代償運動が出る
①痛みは記憶される
ケガをしたときの精神的ショックや
「この動きをすると痛い」というのが脳に記憶され、
組織の異常がなくなっても痛みを感じてしまうことがあります。
例えば、腰を曲げた時に痛みが出るという状態が続くと
「腰を曲げる=痛い」というふう記憶されてしまい
腰に異常がなくても腰を曲げると、脳が痛みを作り出します。
こういった現象は幻肢痛に似ていると思います。
幻肢痛とは切断して存在しないはずの手や足に痛みを
感じることで、メカニズムはまだ解明されていません。
これも脳によって作り出されている痛みと考えるなら
腰痛や肩の痛みなどでも痛みを作り出すといったことが
起きるのは不思議ではありません。
また、痛みはその動きへの恐怖心を抱いてしまうため、
動くことへの恐怖心を取り除き、脳にいつも通り動かしても
大丈夫ということをできるだけ早く覚えさせる必要があります。
安静にして完治を目指す場合、
この脳が記憶してしまった痛みを取るのが難しく、
治っているはずなのにぎこちない動作に
なってしまったりします。
②代償運動が出る
代償運動というのは、本来の動作や運動を行うのに
必要な機能以外の機能で補って、動作や運動を行うことです。
例えば、腕を前から挙げてくるという動きをしようとしたとき
「腰を反る」という動きが出ているとします。
本来、肩の機能が正常であれば、腰を反るという動きは
必要ありませんが、肩に異常があるため腰を反るというのが
代償運動です。
代書運動は別のケガや慢性痛につながることもあるため
どれだけ抑えられるかというのは、ケガからの回復においては、
大きな課題となります。
痛みがあるから動かさないではなく、
動かせる範囲でどんどん動かし、
ケガの影響によって過緊張している筋肉は抑制させ、
代償運動を抑えることで、正常な機能を
取り戻していかないといけません!
ケガの回復と考えるなら
ただ痛みがなくなるだけでは不十分であり、
機能面においても、ケガ前もしくはそれ以上に
回復させる必要があるため、積極的なアプローチが
重要となります。
新常識はPEACE&LOVE
ケガへの対応として一番最初に思いつくのが
RICE処置だと思います。
RICE処置
Rest・・・安静
Ice・・・冷却
Compression・・・圧迫
Elevation・・・挙上
このRICE処置ですが
近年ではその有効性に疑問の声が上がっています。
特にRest(安静)とIce(冷却)については
見直されています。
Rest(安静)については先ほど書いた
痛みの記憶、代償運動を引き起こすという
デメリットや可能な範囲で運動をすることで
回復を早められる可能性があります。
Ice(冷却)はアイシングといわれケガをした際に
最も用いられる処置ですが、最近では筋肉、靭帯
腱などといった軟部組織の損傷には対する効果について
十分に実証できなかったと報告されました。
それどころか逆効果となり回復を遅らせる
可能性があるとの報告もあります。
(アイシンが逆効果になるとの報告)
アイシンは炎症反応を抑える目的で
行いますが、近年「炎症は必要な場所で起こる」
とされており、回復のためには必要な反応なのです。
壊れてしまった筋に対しての再生過程では、
炎症細胞(マクロファージ)という細胞が集まってきますが
壊れた筋のゴミのようなものを貪食し、そこに新しい筋が
作られていくのに対して、アイシングをすると損傷した筋細胞の中に
炎症細胞があまり入ってこないことが分かっています。
こういったことから、アイシングが逆効果になっていると
されています。
個人的には
アイシングをすることで痛みの感覚を
鈍化させることができ、重傷者のメンタル的な
負担を減らせるので、ケガの直後にするのはありだと
思っています。
こういったことから
Rest(安静)とIce(冷却)は
見直され、新たに提唱されている処置が
「PEACE&LOVE」です。
RICE処置と同じようにそれぞれの
頭文字をとったものになります。
PEACE&LOVE
Protection・・・保護
Elevation・・・挙上
Avoid Anti-Inflammatories
・・・抗炎症薬を避ける
Compression・・・圧迫
Education・・・教育
Load・・・負荷
Optimism・・・楽観思考
Vascularisation・・・血流を増やす
Exercise・・・運動
PEACEは受傷直後にする処置
LOVEは受傷から数日後する処置
になります。
PEACE
Protection 保護
受傷から1~3日は痛みが強くなる
活動・動作を避けます。
Elevation 挙上
患部を心臓よりも高く挙げます。
Avoid Anti-Inflammatories
抗炎症薬を避ける
損傷した組織の回復を低下させる可能性があるので
抗炎症薬の服用は避けます。
また、同じ理由からアイシングも避けます。
Compression 圧迫
弾性包帯を使用して腫れを抑えます。
Education 教育
患者の状態に最適な対処法を教え
過剰な医療診察と薬の服用、不必要な
受動的治療を避けます。
LOVE
Load 負荷
徐々に負荷を増やすことで傷める前の活動に戻りやすくなります。
Optimism 楽観思考
前向きで楽観的な思考はケガを治すための重要な役割となります。
痛みの慢性化をへらすなど最適な回復のためによい心理状態を
維持することが大事です。
Vascularisation 血流を増やす
痛みを伴わない範囲で有酸素運動を行うことで
損傷組織への血流を増やし、回復を促進させます。
Exercise 運動
回復に向けて積極的なアプローチをすることで
体の動き、筋力、可動域、バランス能力などを
回復させます。
まとめ
ケガ直後の安静ということであれば
必要ですが、運動による回復促進効果や
痛みの記憶、代償運動といったことを考えると
痛みがなくなるまで、もしくは組織が治るまで
安静にするというのは、回復をむしろ遅らせるように
感じますし、体の機能を考えるとマイナスに働く
可能性があります。
動かせる範囲で、どんどん動かしていったり、
体のケアを行うなど、積極的なアプローチが
ケガを早期に回復させる最善策になります。
また、左手をケガしたのなら、
右手のトレーニングをするといったように
ケガをした部位の反対側のトレーニングを
することによって、ケガをした側の
筋量の減少を抑えれるという報告もあるので
ケガをしていない部位に関してはこれまで通り、
トレーニングをしていくことを推奨します。
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ブログ著者
- 【保有資格】
・日本トレーニング指導者協会 認定トレーニング指導者
・EBFAベアフットトレーニングスペシャリスト
【経歴】
■大学でスポーツ科学を専攻
■卒業後ジュニア専門のテニスクラブにて全国大会を目指す
ジュニアアスリートの育成に携わる
■2018年にフリーのトレーナーとなり名古屋市に2店舗を構える、パーソナルトレーニングジム CONNECTや大手スポーツクラブとパーソナルトレーナー契約を結び活動
より多くの方の身体の悩みを改善したいと思い出張パーソナルトレーニングを始める
■現在、パーソナルトレーニング指導をはじめ、愛知県ベスト4の高校テニス部にてトレーニングコーチを務めるなどスポーツの分野でも活動中。
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